Maya 2022 の新機能

Maya 2022 へようこそこのリリースの新機能と更新されたワークフローについて、詳しく説明します。修正事項に含まれる技術的な詳細については、「Maya 2022 リリース ノート」を参照してください。

Maya 2022 は、アーティストの作業を効率化し、コラボレーションできるようサポートすることを目的としています。Maya の USD プラグインの導入に伴い、このリリースでは、Maya の人気のアニメーション ツール、リギング ツール、モデリング ツールも大幅に更新されています。Python 3 の新しいサポートと、Bifrost と MtoA の新しいプラグインが用意されているため、アーティストと技術リーダーの双方が快適に利用できます。以下に示す新機能および更新されたワークフローの詳細については、「新機能」を確認してください。

ここ数年間における Maya の進化については、Autodesk AREA の Maya タイムラインをご覧ください。

その他の機能

その他の新機能

その他の新機能があります。

タイム エディタ(Time Editor)アニメーション クリップの加算ブレンド

タイム エディタ(Time Editor)のクリップのコンテキスト メニューに新しいブレンド モード(Blending Mode)オプションが追加され、標準(既定の)ブレンド モードと新しい 加算ブレンド ノードのいずれかを選択できるようになりました。新しい加算ブレンド ノードでは、2 つのクリップをブレンドするのではなく、最初のフレームを基準にしてクリップを評価してから、アニメーションにそのクリップを加算することができます。これらのオプションにアクセスするには、タイム エディタ(Time Editor)アニメーション クリップを右クリックします。

新しい加算モードは、各クリップのプライマリ アニメーションがキャラクタの別のパーツの上で発生する場合(歩行サイクルの上に手を振るアニメーションを追加するなどの場合)に、1 つのアニメーション クリップから別のアニメーション クリップにモーションをレイヤ化する場合に便利です。

クリップに加算ブレンドの状態が表示され、名前の横にプラス記号が付加されます。

評価ツールキットの改善点

グラフ接続をより視覚てきに表示するために、評価ツールキットに次のツールが追加されました。

グラフィカル出力
Graphviz を使用して GPU デフォーマのグラフを生成するオプションが含まれている GPU のオーバーライド(GPU Override)領域の評価ツールキット(Evaluation Toolkit) に、新しいグラフィカル出力(Graphical Output)サブセクションが追加されました。
deformerEvaluator コマンド
deformerEvaluator コマンドに dumpInfo または di という新しい引数が追加されました。deformerEvaluator -di を実行すると、デフォーマ エバリュエータのクラスタに関するデバッグ情報を JSON 形式で出力できます。

3D ペイントで高解像度テクスチャをサポート

3D オブジェクトをペイントする場合、最大 16k のサイズのテクスチャを保存できるようになりました。

4096 x 4096 より大きいテクスチャの場合、パフォーマンスは低下することがあります。詳細については、「3D オブジェクトにペイントする」を参照してください。

FBX を使用して標準サーフェスの読み込みと書き出しを実行できるようになりました

FBX ファイルを使用してオブジェクトまたはシーンの読み込みや書き出しを行う場合に、標準サーフェス マテリアルが含まれるようになりました。

新しい Standard Surface シェーダの既定値

少ない手順でシェーディングを開始できるように、Standard Surface シェーダの既定値が調整されました。マテリアルの外観は、ビューポートとソフトウェア レンダリングで同じに保たれます。

シーン内で HDR ライティングを使用している場合に、シェーダが明るすぎるときは、ベース カラー(Base Color)値を 18% のグレー範囲に設定するか、RGB = 0.18 に設定して、シーンを調整することができます。この問題は、ベース カラーがテクスチャにマッピングされていないシェーダで発生することがあります。

ロードされていないリファレンスのネームスペースを保持する

リファレンスを作成する場合や、リファレンスを含むシーンを開く場合に、リファレンス自体をロードしなくても、リファレンスのネームスペースを作成して保持できるようになりました。これにより、他のノードおよびリファレンスでネームスペースが誤って使用され、オリジナルのリファレンスが最終的にロードされた場合にネームスペースが競合することがなくなります。

レイヤ テクスチャ(Layered Textures) への新しい CPV 調節(CPV Modulate)ブレンド モードの追加

レイヤ テクスチャ(Layered Textures) に新しい CPV 調節(CPV Modulate)ブレンド モードが追加されました。このモードでは、アクティブな頂点単位のカラーとアルファ値(CPV)に基づいて、レイヤがコンポーネント単位(RGBA)でブレンドされます。

頂点カラー ペイント ツールへの新しい RGBA 表示チャネルの追加

頂点カラー ペイント ツールを使用して、RGB チャネルを個別に表示できるようになったため、ペイントするときにこれらの特定のチャネル カラー値を把握しやすくなりました。アルファ チャネルを、透明度ではなく、グレースケールとしてオブジェクト サーフェスに表示するオプションも追加されました。

他のオブジェクトとのピボットのスナップ

通常のスナップ ホットキーを使用して、ピボットを編集(Edit Pivot)モードでオブジェクトのピボットを他のオブジェクトのエッジまたは頂点にスナップできるようになりました。これは、2 つの異なるオブジェクト上のコンポーネントを互いを基準にしてすばやく位置合わせする場合に便利です。

アウトライナ(Outliner)の垂直分割バー

Maya のアウトライナ(Outliner)のレイアウトを垂直に分割する新しいオプションが追加されました。アウトライナ(Outliner)のディスプレイ(Display)メニューウィンドウ レイアウト(Window Layout)ロールアウトで、アウトライナ(Outliner)の内容を水平または垂直に表示するよう選択できるようになりました。アウトライナ(Outliner)を垂直に分割すると、空間を垂直方向に最大限に活用できるため、シーン内の多数のオブジェクトを操作する場合に便利です。

注: アウトライナを垂直に分割するオプションは、Maya のメインのアウトライナ(Outliner)(ウィンドウ > アウトライナ(Windows > Outliner))でのみ使用できます。グラフ エディタ(Graph Editor)のアウトライナドープ シート(Dope Sheet)のアウトライナなどの他のアウトライナは、水平方向にのみ分割できます。

パフォーマンスの改善

ハイブリッド キャッシュの設定
キャッシュされた再生(Cached Playback)のプリファレンス評価ツールキット(Evaluation Toolkit)のキャッシング(Caching)セクションに、新しいオプションハイブリッド キャッシュ(Hybrid Cache)が追加されました。このオプションは、キャッシュされた再生(Cached Playback)と GPU デフォーマの利点を兼ね備えていて、大規模ジオメトリを使用している場合もパフォーマンスとメモリ使用率を向上させることができます。

Retina/高DPI (4k)ディスプレイのサポートの改善

以前は、既定の設定の 4K モニタで Maya ビューポートを低解像度でレンダリングしている場合、意図しないピクセレーションが生じていました。この歪みを調整しようとすると、品質は高くなりますが、外観が小さくなって見にくくなりました。この問題に対処する取り組みの結果、Maya は高 DPI 画面でもネイティブの解像度でレンダリングできるようになりました。

既知の問題

  • OpenGL 描画を使用するプラグイン ウィジェット: 高 DPI のサポートは、プラグイン作成者が提供する必要があります。
注: 以前の動作に戻して、高 DPI のサポートをオフにするには、QT_MAC_WANTS_BEST_RESOLUTION_OPENGL_SURFACE 環境変数を使用します。詳細については、「Mac OS X 固有の変数」を参照してください。

曲線表示設定

アトリビュート エディタ(Attribute Editor)に、カーブ シェイプ ノード専用の新しい表示オプションである常に前面に描画(Always Draw on Top)が追加されました。

常に前面に描画(Always Draw on Top)はカーブ シェイプ ノードのアトリビュート エディタ > オブジェクト ディスプレイ(Attribute Editor > Object Display)セクションにあり、オンにすると、カーブがシーン内の他のオブジェクトによって隠されている場合でも、ビューポートに表示することができます。これは、コントロール リグを使用して、ビューポート内の他のオブジェクトの上に、コントローラとして使用されるカーブを表示する場合に便利です。「アトリビュートを表示(Display Attributes)」を参照してください。

新しいスナップ トランスフォーム プラグイン

行列制御ワークフローを使用するための新しいプラグイン snapTransform が追加されました。snapTransforms プラグインを使用すると、トランスフォームの現在の位置をベイク処理したり、トランスフォームの再ペアレント化とベイク処理を同時に行ったりできます。このオプションには、ピボットまたは offsetParentMatrix を保持しながら、同じ場所で視覚的なトランスフォームを継続する以外にも、フレーム範囲を超えてベイク処理する機能や、ベイク処理するコンポーネント(SRT やシア)をトランスフォームするためのコントロールが用意されています。

snapTransform プラグインは MDagPath.matchTransform 機能を利用する、実験的な開発者向けプラグインです。このプラグインを使用するには、Python OpenMaya と maya.cmds を使用します。

snapTransform プラグインをロードするには、ウィンドウ > 設定/プリファレンス > プラグイン マネージャ > snapTransform.py(Windows > Settings/Preferences > Plug-in Manager > snapTransform.py)を選択します。このプラグインで使用できるフラグのリストを確認するには、-help と入力します。

アウトライナ(Outliner)の新しいセット(Sets)コンテキスト メニューを使用して、セットを簡単に作成できます

アウトライナ(Outliner)のコンテキスト メニューの新しいセット(Sets)サブメニューを使用して、オブジェクトからセットやクイック選択セットを作成したり、パーティションを作成できるようになりました。1 つまたは複数のオブジェクトを選択し、右クリックしてセット(Sets)を選択してから、セットを作成するメニュー項目またはメンバーシップを編集するメニュー項目を選択します。

セットを選択したときに、セット メンバーを自動的に選択することもできます。この動作を既定で有効にするには、プリファレンス > 選択 > モディファイア > アウトライナでセット メンバーを自動選択(Preferences > Selection > Modifiers > Auto-select set members in the Outliner)を有効にします。

ビューポート内の部分的に透明なサーフェスのアーティファクトの削減

新しいアルファ カットの事前計算パス(Alpha Cut Prepass)機能がビューポート 2.0 オプション(Viewport 2.0 options)に追加され、アルファ カット(Alpha Cut)透明度アルゴリズムと、オブジェクトのソート(Object Sorting)深度ピーリング(Depth Peeling)といった他のすべての(アルファブレンドされた)透明度アルゴリズムの利点を組み合わせられるようになりました。このオプションを有効にすると、これらの透明度アルゴリズムによって生じるアーティファクトを軽減または除去できます。

アニメーション レイヤの読み込みオプション

読み込みオプション(Import options)に新しいベース アニメーション レイヤをマージ(Merge Base Animation Layers)オプションが追加され、読み込まれたファイルのベース アニメーション レイヤと、シーン内のベース レイヤ アニメーションをマージできるようになりました。このオプションをオンにすると、多数のアセットが読み込まれたシーンを操作する場合に便利です。

既定の設定はオフで、読み込まれたレイヤは現在のベース レイヤの下に移動されます。

新しい動作をアクティブにするには、mergeBaseAnimLayer(mbl) コマンドを True に設定します。

スキン ウェイト ペイント ツール(Paint Skin Weights Tool)の改善点

スキン ウェイト ペイント ツール(Paint Skin Weights Tool)が更新され、次の点が改善されました。
  • インフルエンスをフィルタ(Filter Influences)フィールドはアウトライナ(Outliner)フィルタと同じように動作するため、特に、複雑なリグがある場合に、使用するインフルエンスを簡単に見つけて、選択することができます。以前は、アウトライナ(Outliner)とは異なり、スキン ウェイト ペイント ツール(Paint Skin Weights Tool)ではフィルタに特殊文字を追加する必要がありました。
  • スキン ウェイト ペイント ツール(Paint Skin Weights Tool)を開いたときにスキン メッシュ上でフェースまたはエッジが選択されている場合、選択項目は自動的に頂点に切り替わり、ウェイトのペイントをすぐに開始できるようになりました。
  • 使われていないインフルエンスの除去(Remove Unused Influences)やインフルエンスの追加(Add Influences)などのさまざまな操作を実行した後に、インフルエンス(Influences)リストを更新する機能が改善されました。
  • 垂直スクロールバーに合わせてインフルエンス リストの展開(Expand Influence List)ボタンが移動するという小さな問題が修正されました。

GPU のサポートと選択セット

サブセットを使用する場合の張力デフォーマ、デルタ マッシュ デフォーマ、およびソリッド化デフォーマの動作が、GPU サポートに対応するように変更されました。

Maya 2021 より前のバージョンでは、これらのデフォーマを含むジオメトリのサブセットを使用している場合、選択セットはポリゴン接続レベル 1 つ分だけ内部的に拡張され、これらの頂点がアンカーとして割り当てられていました。

新しい動作では、サブセット内の頂点のみがデフォーマによって使用されます。元のデフォーマの動作を復元する場合は、コンポーネント タグを使用して選択セットを展開します。

正確な UV 配置

UV エディタ(UV Editor)トランスフォーム > 移動(Transform > Move) セクションの新しい U および V フィールドで、選択した UV の UV 空間値を正確に表示または設定できるようになりました。

行列ウィジェットの改善

アトリビュート エディタ (Attribute Editor)のトランスフォーム オフセット親行列(Transform Offset Parent Matrix)ウィジェットが更新され、アトリビュート フィールドを右クリックしたときに、アトリビュートの状態に関する視覚的なフィードバックと、いくつかの追加オプションが表示されるようになりました。
  • 数値フィールドのバックグラウンドに、現在のアトリビュートの状態が表示されます。接続されている場合は黄色、ロックされている場合は灰色で表示されます。
  • フィールドが接続されているか、ロックされている場合は、これらのフィールドを編集できません。
  • アトリビュートがロックされている場合は、右クリックして値をロックします
  • アトリビュートが接続されている場合は、右クリックして接続されているノードの名前を表示するか(クリックすると接続に移動)、接続を解除するか、ロックします。
  • アトリビュートがロック解除されていて、かつ切断されている場合は、右クリックして ID を設定するか、反転するか、行列をロックします。

トランスフォーム オフセット親行列(Transform Offset Parent Matrix)アトリビュートを編集する」を参照してください。

blendShape の修正

頂点単位のウェイト アトリビュートでキーを選択または設定すると Maya が不安定になる問題が修正されました。blendShape.InputTarget.baseWeight アトリビュートのキー設定中にこのように不安定になるのは、Maya によって頂点ごとにアトリビュートが生成され、場合によってはアトリビュート数が過剰になるためです。

この問題を解決するために、頂点単位のウェイト アトリビュートがキー設定不可に設定されました。これらのアトリビュートにキーを設定する場合は、スクリプト エディタ(Script Editor)を使用するか、チャネル ボックス(Channel Box)のチャネル(Channels)タブ選択項目のキー設定(Key Selected)または全キー設定可能項目をキー設定(Key All Keyable)メニュー項目を使用します。

キー > ドリブン キーの設定 > 設定(Key > Set Driven Key > Set)を選択すると、ドリブン キーの設定(Set Driven Key)ウィンドウが表示されます。Maya がフリーズする問題があったため、このウィンドウは以前は起動しませんでした。

editMA の書き出しのサポート

オフライン ファイルへ書き出しオプション(Export to Offline Files Options)とともに、Maya のすべて書き出し(Export All)/選択項目を書き出し(Export Selected)オプションの ファイル タイプ(File Type)メニューのオプションとして EditMA が追加されたため、デフォーマを editMA ファイルに接続した状態でキャラクタを書き出せるようになりました。

注: このオプションをオンにすると、選択項目を書き出し(Export Selected)を使用している場合でも、書き出されたシーンにすべての editMA ファイルを書き込むことができます。

スクリプト エディタ(Script Editor)の改善点

スクリプト エディタ(Script Editor)に新しいオプションが追加され、タブの操作が容易になりました。

Web ブラウザのタブと同様に、スクリプト エディタ(Script Editor)のタブを右クリックして、タブを作成、名前変更、削除するオプションにアクセスできます。更新されたスクリプト エディタ(Script Editor)のホットキーはより直感的になり、中マウス ボタンでタブをクリックするか[X]キーをクリックすることで、タブを閉じられるようになりました。また、タブ オプションは、コマンド(Command)メニューからタブ(Tabs)メニューに移動されました。

既定ではロードされないベクター レンダラ

Maya ベクター レンダラは、既定で自動ロードされなくなりました。

UV ピン(UV Pin)と近接ピン(Proximity Pin)を使用したカーブ入力のサポート

カーブ アニメーションおよび NURB で、UV ピン(UV Pin)と近接ピン(Proximity Pin)の行列演算子が機能するようになりました。以前は、これらの演算子をカーブ アニメーションと一緒に使用すると、シーン内に余分なノードが作成されていました。

UV ピン(UV Pin)ノードと近接ピン(Proximity Pin)ノードは、入力として配列を使用し、(個別の移動、法線、接線ではなく)行列の配列を出力します。出力は他の行列のコンストレイントに直接送信されるため、行列作成(Compose Matrix)を使用したり、ローカル チャネル トランスフォームに送信したりする必要はありません。

また、法線のオーバーライド(Normal Override)という新しいノードに新しいアトリビュートが追加され、オプションをレイル(Rail)に設定できるようになりました。このアトリビュートがレイル カーブ ジオメトリに接続されている場合は、法線を計算できます。「UV の固定オプション(UV Pin options)」および近接ピン オプション(Proximity pin options)」を参照してください。

ゲーム頂点の数

新しい gameVertexCount プラグインを使用すると、Unreal または Unity のゲーム頂点の数をリアルタイムに表示することができます。これにより、オブジェクトが書き出された後に各エンジンが評価する頂点の数を確認できるため、ゲーム内の頂点数を見積もることができます。

Substance プラグインの更新

Maya 2022 には、Substance 2.1.9 プラグインが含まれています。

機能のリストについては、「http://www.autodesk.com/maya-substance-docs」を参照してください。