[パイプ ネットワークの解析]ウィザードを使用すると、パイプのサイズ変更、インバートのリセット、HEC-22 2009 標準に準拠したエネルギー勾配線と動水勾配線の計算が可能です。
このユーティリティで行えることは、次のとおりです。
- 適切な降雨データを使用して、パイプ ネットワークを繰り返し解析
- グラフィックスと .csv ファイルで解析結果を確認
- 結果を修正し、解析を再実行
- パイプ ネットワークに結果を適用
次の図は、サイズ変更前後のパイプ ネットワークの解析結果例を縦断ビューで示します。
サイズ変更前のパイプ ネットワーク
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サイズ変更後のパイプ ネットワーク
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[パイプをサイズ変更し、インバートをリセット]と[エネルギー勾配線と動水勾配線を計算]の 2 つの解析タイプを選択できます。
両方のオプションを選択すると、エネルギー勾配と動水勾配の計算値を含む計算されたプロパティが影響を受けるパーツに適用されます。
この計算は、次のドキュメントに基づいています。『Urban Drainage Design Manual, Hydraulic Engineering Circular No. 22』(略称 HEC-22、第 3 版、米国運輸省連邦高速道路局)。
- どちらの解析タイプも、第 4 章「Pavement Drainage」で説明されている手順に従って集排水口の解析を実行します。集排水口の解析では、集排水口によってキャプチャされた流れを分析し、広がりを計算し、結果を .csv ファイルに書き出します。
- [エネルギー勾配線と動水勾配線を計算]解析は、第 7 章 5 節「Energy Grade Line Evaluation Procedure」(エネルギー勾配線の評価プロセス)で説明されている手順に従います。
ワークフローの前提条件
次の前提条件を満たしていれば、パイプのサイズ変更ワークフローを開始することができます。
- 道路のジオメトリを作成します。[自然流下式ネットワークの解析]ウィザードを使用している場合、車線の横断勾配、縦勾配、側溝幅、および各集排水口の側溝の横断勾配を指定できるようにする必要があります。
- パイプ ネットワーク(集排水口、パイプ、マンホール、吐き口の位置を含む)を作成します。[自然流下式ネットワークの解析]コマンドを実行する前に、パイプ ネットワーク内の各構造物および各パイプに対して[ルールを適用]コマンドを実行します。
- 集排水口は、通常、[取り入れ口の位置]プロパティが[勾配上]または[凹型上]に設定されたます構造物として AutoCAD Civil 3D で作成されます。
- マンホールは、通常、[取り入れ口の位置]プロパティが[<なし>]に設定されたます構造物として作成されます。
- 後でサイズ変更処理中に指定する吐き口構造物またはパイプが必要です。吐き口の一部として次のパーツ タイプを選択することができます。
- 1 本または複数本の流入管があるが、流出管を持たない構造物。
- 吐き口(下流)の端に構造物が取り付けられていないパイプ。
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パイプ ネットワークの開始位置には構造物が存在する必要があり、Null 構造物は使用できません。そのようなネットワークを選択して解析を実行した場合、解析結果は表示されません。
- 曲線パイプを解析することもできます。結果が適用された後も、それらの曲率は維持されます。ただし、解析により、それらのサイズ、開始標高、終了標高が更新される場合があります。
- パイプ ネットワークを参照サーフェスと関連付ける必要はありません。ただし、参照サーフェスが存在する場合は、そのサーフェスの標高が土被り値の計算に使用されます。参照サーフェスが存在しない場合、構造物リム(通常 0)が土被り値の計算に使用されます。
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[自然流下式ネットワークの解析 - 既定の設定]で指定された最小土被りは、(吐き口構造物に接続された)最下流のパイプ以外のすべてのパイプに適用されます。
そのため、サーフェスの勾配が最下流のパイプの勾配よりも急であるとき、吐き口構造物とそれに接続されたパイプが地上に現れてしまう場合があります。
- 選択したパイプ ネットワークがデータ参照されている場合、エネルギー勾配線と動水勾配線を計算することはできますが、解析結果をパイプ ネットワークに適用することはできません。
- 必要に応じて図面内の縦断ビューにパイプ ネットワークを追加します。こうしておくと、[結果を CSV に書き出して縦断ビューで確認]オプションを使用したときに、パイプ ネットワークに加えられた変更内容をウィザードの[結果]ページからプレビューすることができます。
- 集排水口に関連付けられている集水域を作成します([サーフェスから集水域を作成]または[オブジェクトから集水域を作成])。 集水域を作成するときは、流出係数を手動で指定します。領域、集中時間(Tc)は、集水域のプロパティとして計算されます。これらの値はパイプのサイズ変更処理で使用されます。集水域で計算された Tc が、[自然流下式ネットワークの解析 - 既定の設定]ダイアログ ボックスで指定された最小値より小さい場合は、設定された値が代わりに使用されます。
注: 集排水構造物に関連付けることができる集水域は 1 つのみです。集排水口に追加の流れを関連付ける必要がある場合は、[支流]ページで追加の既知の Q を指定して、流れを追加することができます。または、
[オブジェクトから集水域を作成]集水域定義プロセスを使用して、複数の集水域を 1 つの集水域としてモデル化することもできます。
- システムに流れ込む別の流れ(Q)が存在するかどうかを判断します。集排水口に対して集水域が存在しない場合は、その集排水口に対しても Q を指定することができます。
- その場所の降雨データ ファイルを準備または取得します。このファイルは NOAA .csv ファイル、X-Degree .csv ファイル、または Hydraflow .ldf ファイルの形式で存在します。サンプルの降雨ファイルは C:¥ProgramData¥Autodesk¥C3D 2017¥enu¥HHApps¥IDF にインストールされます。
既定の設定を指定する
支流域、構造物、およびパイプに対して手動で指定する必要がある設定、または解析の計算で値として使用される設定は、[自然流下式ネットワークの解析 - 既定の設定]ダイアログ ボックスで既定として事前に設定しておくことができます。 このダイアログ ボックスには、ウィザードの[一般]ページからアクセスすることができます。
パイプ ネットワーク パーツの置換
[自然流下式ネットワークの解析]ウィザードにより、代替パーツ取得のために現在のパーツ カタログが確認されます。必要なパーツ サイズがカタログ内に存在するが現在のパーツ リスト内には存在しない場合、パーツの置換後に、そのパーツ サイズが現在のパーツ リストに追加されます。
解析結果に基づいて別のパーツ サイズが必要であると判断された場合、そのサイズがパイプの元のファミリに対して照会されます。そのうえで、必要なサイズがそのファミリ内に存在しない場合、パイプ ネットワークで使用されている他のパーツ ファミリに対して照会されます。これにより、あるパイプ マテリアルが別のマテリアルに変更される場合があります(ただし、別のマテリアルがパイプ ネットワーク内で既に使用されている場合にのみ起こりえます)。
条件 1
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条件 2
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動作結果
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元のパーツが 18 インチのコンクリート パイプであり、解析結果に基づいて 12 インチのパイプが使用できると判断された場合
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かつ、12 インチのコンクリート パイプがパーツ カタログに存在する場合
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12 インチのコンクリート パイプが使用されます。
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元のパーツが 12 インチのコンクリート パイプであり、解析結果に基づいて 10 インチのパイプを使用できると判断された場合
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かつ、10 インチのコンクリート パイプがパーツ カタログに存在しない場合
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10 インチのパイプは、パイプ ネットワークで使用されている他のパーツ ファミリに対して照会されます。
注: 推奨されるサイズのパーツを使用するためにパイプ マテリアルが別のマテリアルに変更されても、通知は行われません。パイプ マテリアルを確認するには、パイプ レポートを出力するか、パイプのマテリアルを表示する列を含むテーブルを図面内に作成します。
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サイズ変更後の調整
- パイプ ルールの適用先のパイプ ネットワークに結果を適用した後は、[プロスペクター]タブでパイプを確認し、ルールが破綻していないかを確認することをお勧めします。
- 吐き口構造物の位置や標高を目的の曲率値に一致するように修正する必要があります。