mParticles クイック スタート チュートリアル

パーティクル物理特性をパーティクル フローでシミュレートする学習を始める際には、付属のプリセット mParticles フローから開始すると便利です。このチュートリアルでは、mParticles フローと他の技法を組み合わせて使用して、mParticles システムの使用方法を学習します。

スキル レベル: 中級

所要時間: 1 時間

このチュートリアルの準備

パート 1: プリセット mParticles フローを調査する

注: このチュートリアルでは、オブジェクトの移動やビューポートの操作など、3ds Max の基本的な操作に精通していることが前提となります。3ds Max を使用したことがない場合は、この作業に進む前にほかの入門チュートリアルを受けてください。また、パーティクル フローに関する基本的な作業知識も必要となります。
  1. 3ds Max を開始またはリセットし、6 を押してパーティクル ビューを開き、[mParticles フロー](mParticles Flow)をコンテナからイベント表示にドラッグします。

    これにより、簡単な物理特性シミュレーションに対して必要なすべての要素が一挙に追加されます。

  2. アニメーションを再生します。

    宙につるされたボックス型パーティクルのキュービック配置から始まります。パーティクルは急速に地面に落下し、落下点の周りに不規則に飛び散ります。



    ボックス型パーティクルは落下した後にあまり動きませんが、形を丸くすることで回転アクションを追加することができます。

  3. [シェイプ](Shape)オペレータをクリックし、[シェイプ](Shape)を[球(20 面)](Sphere 20-Sides)に、[サイズ](Size)を 5.0 に設定します(既定サイズの 10.0 にすると、パーティクルがシミュレーションの開始時に衝突してすぐに飛び去ってしまうため)。また、[mParticles シェイプ](mParticles Shape)オペレータをクリックし、[衝突](Collide As)を[球](Sphere)に設定します。そして最後に、回転して遠ざかる動きにはいくらか時間がかかるため、アニメーションの長さを 200 フレームに設定します。

    mParticles シェイプは、シミュレーション中のパーティクルの特徴を決定します。

  4. アニメーションを巻き戻してもう一度再生します。

    今度はパーティクルが落下して回転しながら分散します。



    物理特性シミュレーション エンジンは、パーティクル ビューからアクセス可能な mParticles ワールド ヘルパーです。

  5. [イベント 001](Event 001)で、[mParticles ワールド](mParticles World)オペレータをクリックし、そのパラメータのロールアウトで、[=>]ボタンをクリックします。

    これによってヘルパーが選択され、[修正](Modify)パネルにそのパラメータのロールアウトが表示されます。



    注: [重力の適用](Apply Gravity)と[グラウンド衝突平面](Ground Collision Plane)がオンでも、[作成](Create)パネルまたは[mParticles ワールド](mParticles World)オペレータのいずれかから mParticles ワールド ヘルパーを明示的に作成する場合、上記の動作は行われません。両方のオプションは既定でオフになります。
  6. (重力の)[アクセラレーション](Acceleration)の値を 10.0 に減らしてみます。アニメーションの長さを 500 フレームに増やします。

    これでアニメーションを再生すると、球が先ほどよりもゆっくりと落下し、より長い時間をかけて転がっていきます。

パート 2: 独自のシミュレーションを作成する

このセクションでは、簡単なレンガ壁を作成し、仮想グルーを使ってレンガをモルタルで塗ります。

  1. 3ds Max をリセットし、新しい mParticles フローでもう一度開始します。アニメーションの長さを 300 フレームに設定します。
  2. [発生グループ](Birth Group)オペレータを、コンテナから[発生グリッド](Birth Grid)オペレータの上にドラッグします。

    [発生グループ](Birth Group)が[発生グリッド](Birth Grid)に置き換わり、パーティクルがビューポートから消えます。ただし、大きなワイヤフレーム立方体はそのまま残ります。これが mParticles ワールド ヘルパーです。その中心をポイントしている下矢印は重力の方向を示し、下面の X はグラウンド衝突平面の場所を示しています。既定では、これは 3ds Max のホーム グリッドと一致します(Z=0 での XY 平面)。



    ヒント: 場合によっては、タイム スライダを動かしてビューポートを更新する必要があります。完了したら、フレーム 0 に戻ります。

    シーン内に発生グループを物理的に示すものはありません。後で簡単に説明しますが、パーティクルは指定したメッシュ オブジェクトから作成されます。

  3. イベント 001 から[スピン](Spin)オペレータを削除します。

    このチュートリアルではこのオペレータを使用しません。

  4. [作成](Create)パネルに移動し、ボックス プリミティブの[長さ](Length) = 20、[幅](Width) = 10、[高さ](Height) = 5 を追加します。
  5. 移動ツールをアクティブにして、[座標表示](Coordinate Display)のスピナー(プログラム ウィンドウの下にある X、Y、Z フィールド)を右クリックすると、ボックスがホーム グリッドの中心に配置されます。
  6. Shift を押しながらローカル Y 軸に沿ってドラッグすることでボックスのクローンを作成し、クローンが元のボックスの隣に配置されたらマウス ボタンを放します。[クローン オプション](Clone Options)ダイアログを使用して 5 つのコピーを作成し、全部で 6 つのレンガを作成します。6 つのレンガをすべて選択し、ワールド Y 軸に沿って一列になるように並べ、X 軸を中心として配置します。


  7. 左側のビューポートで、Shift を押しながらビュー Y 軸に沿ってレンガを真っすぐ上に移動し、クローンを元の行の真上に配置して再び 5 つのコピーを作成します。


  8. [発生グループ](Birth Group)オペレータをクリックし、現在空白である[パーティクル オブジェクト](Particle Objects)リストの下で、[追加](Add)の隣にある[リスト別](By List)ボタンをクリックします。[オブジェクトを選択](Select Objects)ダイアログが開き、テキスト カーソルが[検索](Find)フィールドに配置されます。[B]キーを押してすべてのボックス オブジェクトをハイライト表示して、[選択](Select)をクリックします。

    ボックス オブジェクトの名前がリストに表示され、それらに対応するパーティクルがビューポートに表示されます。これらのボックスはパーティクル オブジェクトです。これらをオペレータに適用した後は、簡単に取り除くことができます。

  9. リストの下の[非表示](Hide)ボタンをクリックします。

    これにより、リスト内のオブジェクトが、それらに対応するパーティクルだけを残して非表示になります。

  10. [シェイプ 001](Shape 001)(立方体 3D)オペレータを削除します。

    これで[mParticles シェイプ 001](mParticles Shape 001)(ボックス)オペレータは、元のレンガと同じサイズになるように、パーティクルの形状を決定します。

  11. パーティクルのレンガは表示カラーを使用します。これは必要に応じて変更できます。
  12. アニメーションを再生します。

    レンガはすぐに重力に負け、積み重なるように倒れます。



    これは、mParticles グルー テストによってすぐに修正できます。

  13. [mParticles グルー](mParticles Glue)テストをイベント 001 の最後に追加します。このテストをクリックすると、パーティクル ビューにそのパラメータが表示されます。[タイプ](Type)を[リジッド](Rigid)に設定します。

    このグルー テストにより、パーティクルのペア間にバインドが作成されるため、バインドの動作を確認できることが重要となります。そのため、[バインドを視覚化](Visualize Binding)オプションが必須となります。

  14. [パラメータ](Parameters)ロールアウトで、[バインドを視覚化](Visualize Binding)をオンにします。

    この時点でバインドは存在しないのでまだ表示することはできません。

  15. 左側のビューポートでレンガが明確に見えることを確認し、[距離のバインド](Bind Distance)スピナーを使用して、左側のビューポートでパーティクル間に青い線が表示されるまで値を大きくしていきます。


    バインドは主に垂直な線です。これがパーティクル間の最短距離となるためです。

  16. バインドが表示されたらすぐにアニメーションを開始します。

    レンガの列が一緒に移動するのを確認できると思います。レンガの上と下に仮想モルタルがありますが、この側面にはありません。



    最初に、移動すべきではないときに移動してしまう列に対処する必要があります。これはシミュレーションで安定性が不足しているために発生する現象ですが、[サブフレーム係数](Subframe Factor)の値を大きくすることで解決できます。

  17. [mParticles ワールド](mParticles World)オペレータをクリックし、そのパラメータのロールアウトで[=>]ボタンをクリックして、mParticles ワールド ヘルパーのパラメータを[修正](Modify)パネルに表示します。パネルの最下部にある[拡張パラメータ](Advanced Parameters)ロールアウトを展開して、[サブフレーム係数](Subframe Factor)の値を 10 に設定します。

    [サブフレーム係数](Subframe Factor)の値は、[パーティクルごとの最大バインド数](Max Binds p/Particle)の値を倍にして 2 を足した数値に設定するのが一般的なルールです。そのため、[パーティクルごとの最大バインド数](Max Binds p/Particle)の値が 4 の場合は、[サブフレーム係数](Subframe Factor)の値は(2 x 4) + 2 = 10 になります。[サブフレーム係数](Subframe Factor)は、シミュレーションの一般的な複雑さに応じてこれより小さい値に設定できる場合があります。しかしここでは 10 を使用します。

    配列が乱れているときにこの値を設定すると、これらの列が元の位置に飛び戻るのを確認できます。

    重要: [サブフレーム係数](Subframe Factor)の値を大きくすると、フレームごとの時間数が増える設定となるため、シミュレーションの精度が向上します。これによってシミュレーション速度が遅くなる場合がありますが、多くの場合は透過的となります。独自のシミュレーションを操作しているときに不安定な状態になった場合は、[サブフレーム係数](Subframe Factor)の値を大きくすると安定性が向上する場合があります。
  18. アニメーションをもう一度再生し、安定性が向上していることを確認します。安定性が不足している場合は、[サブフレーム係数](Subframe Factor)の値をさらに大きくします。

    次に、列が一緒にバインドされるように、バインドの可能な数値を大きくします。

  19. グルー テストをハイライト表示し、[パーティクルごとの最大バインド数](Max Binds p/Particle)を 8に設定します。対角線が見えるまで[距離のバインド](Bind Distance)を大きくします。[距離のバインド](Bind Distance)値はおそらく 2030 の間になります。


    水平方向に隣接しているレンガの各ペア間にバインドが表示されない場合がありますが、各列に水平方向のバインドが 1 つまたは 2 つ以上ある限り、壁全体は 1 つにまとまっています。

  20. アニメーションを再生します。

    ここでは何も起こらないことが理想的です。壁が移動する場合は、壁が移動しなくなるまで[サブフレーム係数](Subframe Factor)の値を大きくしていきます。

パート 3: 壁にボールを当てる

パーティクルの相互作用を作成するには、発生ストリームのエミッタを追加します。

  1. コンテナから、イベント 001 の隣の[発生ストリーム](Birth Stream)オペレータをドラッグし、新しいイベントを作成します。[表示](Display)オペレータを[ジオメトリ](Geometry)に設定し、[発生ストリーム](Birth Stream)の後に[シェイプ](Shape)および[mParticles シェイプ](mParticles Shape)オペレータを追加し、両方とも[球](Sphere)に設定します。イベントを PF ソースのグローバル イベントにワイヤリングします。
    重要: イベントでは、[シェイプ](Shape)オペレータが[mParticles シェイプ](mParticles Shape)オペレータよりも優先されることを確認してください。イベント要素は上から順に処理されるため、mParticles シェイプでは、シェイプのデータを処理できる必要があります。それができない場合は正しく機能しません。

    また、両方のイベントで同じ mParticles ワールド ヘルパーとワールド設定を使用できるように、[mParticles ワールド](mParticles World)オペレータのクローンを作成する必要があります。これは短時間で実行することができます。

  2. [発生ストリーム](Birth Stream)オペレータをクリックし、[放出終了](Emit Stop)を 0 に設定することで、アニメーションが開始されるとすぐにすべてのパーティクルが放出されるようにします。

    読み取り専用の[合計](Total)フィールドには 1 が表示されています。



    今アニメーションを再生すると、1 つのパーティクルが壁の下から飛び出してきます。これは、[発生ストリーム](Birth Stream)アイコンの既定の位置がワールドの中心(0,0,0)にあるためです。また、発生ストリームには、ビルトインの[速度](Speed)プロパティがあり、このプロパティは既定で 300 に設定されているため、[Speed](速度)オペレータをさらに必要としません。

  3. [発生ストリーム](Birth Stream)アイコンを選択して、負の X 軸方向に約 80 単位移動してから上方に移動すると、壁の高さの中心に垂直に配置されます。位置は約(–80,0,15)です。


  4. Y 軸を中心に[発生ストリーム](Birth Stream)アイコンを –90 度回転させ、ベクトル矢印が壁を指すようにします。
  5. [シェイプ](Shape)オペレータをクリックし、[サイズ](Size)を 20 に設定して球体のサイズを大きくします。
  6. アニメーションを再生します。

    球はレンガに衝突せずに壁を通過します。これは、そのイベントが物理特性シミュレーションにまだ参加していないためです。

    [mParticles ワールド](mParticles World)オペレータは、パーティクルがシミュレーションに関与するすべてのイベントに存在する必要があります。常に、表示とテストを除き、イベントの最後のオペレータになります。

  7. イベント 001 で、[mP ワールド 01](mP World 01)イベントを右クリックし、[コピー](Copy)を選択します。[イベント 002](Event 002)を右クリックし、[貼り付け](Paste)を選択します。

    3ds Max により、球のイベントに[mParticles ワールド](mParticles World)イベントが追加されます。

  8. 新しい[mParticles ワールド](mParticles World)がイベント 002 の下部にない場合、[表示](Display)オペレータのすぐ上で、それをドラッグ & ドロップし、位置を修正します。
    注: [貼り付けをインスタンス化](Paste Instanced)を使う必要はありません。1 つのシーンに複数の[mParticles ワールド](mParticles World)オペレータは存在しないためです。このオペレータを使用するイベントは同じシミュレーションに含まれ、あるイベントの[mParticles ワールド](mParticles World)パラメータを変更すると、[mParticles ワールド](mParticles World)を含むすべてのイベントの同じパラメータ設定が更新されます。
  9. アニメーションをもう一度再生します。

    今回は球が壁を倒します。設定の内容によっては、回転しながら壁を押して進む場合もあります。ボールが当たってもパーティクルが固くバインドされたままの状態を維持します。



    最初、ボールが壁を倒さない場合、[mParticles ワールド](mParticles World)を選択し、[重力の適用](Apply Gravity) [アクセラレーション](Acceleration)値をたとえば 245 に減らします。また、作業内容を保存し、インクルード ファイル pflow_mparticles_tutorial.max を参照できます。 その設定をクリックして、設定と異なる部分を確認してください。

パート 4: 物をブレークする

mParticles グルーの重要なパラメータ領域は、[壊れやすさ](Breakability)です。パーティクルが十分なフォースに遭遇した場合は、この設定を使用してバインドを削除できます。

  1. [mParticles グルー](mParicles Glue)テストをクリックし、[パラメータ](Parameter)ロールアウト [壊れやすさ](Breakability)領域で、[フォースによる壊れやすさ](Breakable By Force)をオンにします。タイム スライダの[>]ボタンを数回クリックしながら、バインドを表示できるビューポートを観察します。

    フレーム 2 では、すべてのバインドが消滅します。[最大フォース](Max Force)と[最大トルク](Max Torque)の既定の設定値が小さいため、重力のフォースだけで十分にバインドがディゾルブされます。

    [最大フォース](Max Force)と[最大トルク](Max Torque)では、バインドがブレークするまで持ちこたえられる最大フォースを定義します。現実的なシミュレーションを作成するには、通常、両方の値を大きくする必要があります。

  2. ボールが壁に当たる前のフレーム(仮に 6 とします)で、バインドが再び表示されるまで、[最大フォース](Max Force)と[最大トルク](Max Torque)の値を上げます。たとえば、両方の設定値を 500 にしてみます。
  3. アニメーションの再生中に、[最大フォース](Max Force)と[最大トルク](Max Torque)の設定値を試し続け、異なる効果を得られるかどうかを確認します。また、[発生ストリーム](Birth Stream) [速度](Speed)の値を調整してみることで、シミュレーションにどのような影響が出るのか確認します。
  4. これらが終了したら、[最大フォース](Max Force)と[最大トルク](Max Torque)の両方の値を 1.0 に戻し、[発生ストリーム](Birth Stream) [速度](Speed)の値を 300 にします。
  5. [フォースによる壊れやすさ](Breakable By Force)をオフにします。

パート 5: レンガから板へ

他の便利な[mParticles グルー](mParicles Glue)オプションは[中心位置合わせのみバインド](Bind Center Aligned Only)です。パーティクルの位置合わせと距離に基づいてバインディングが作成されます。現在のパーティクル レンガの位置合わせでは、レンガは近隣に対して位置合わせされるため、表示が難しくなることがあります。そのため、レイヤを少し再調整します。

  1. イベント 001 の[発生グループ](Birth Group)オペレータをクリックして反転表示し、[表示](Unhide)をクリックしてパーティクルの生成に使用するすべてのメッシュ シェイプを表示します。次に、[発生グループ](Birth Group)オペレータをオフにして、ボックスをより簡単に見られるようにします。
  2. 一番下の行から始め、ボックスの行を交互に選択し、それらを右に 10 単位移動することで、各レンガをその垂直方向に隣り合うレンガの位置からその半分の長さだけオフセットにします。


    これはもちろん、現実世界でレンガ壁を構築する方法です。また、現実世界では、溝を埋めるために半分のレンガを使いますが、このチュートリアルでは必要としません。このシナリオでは、板のように機能するレンガを作成し、仮想世界でできることをさらに実証していきます。

  3. [発生グループ](Birth Group)オペレータをオンに戻します。

    パーティクルはまだ元の位置にあります。パーティクル オブジェクト(ボックス)を変更する場合は、[発生グループ](Birth Group)を手動で更新する必要があります。

  4. [パーティクル オブジェクト](Particle Objects)リストの下で、[オブジェクトからパーティクルを更新](Update Particle From Objects)をクリックして、パーティクル オブジェクトを再び非表示にします。


  5. [mParticles グルー](mParticles Glue)テストをクリックし、[バインドを視覚化](Visualize Binding)をオンにして、[距離のバインド](Bind Distance)を 30 に設定します。

    主に交互にオフセットされたレイヤのために、今はより多くの接続が表示されています。以前は同じくらい多くありましたが、今は対角線上にあり、水平位置がオフセットされている一番近いレンガに到達しています。

  6. [中心位置合わせのみバインド](Bind Center Aligned Only)をオンにします。

    これにより、mParticles グルーは、ローカル軸が互いに位置合わせをしているパーティクルのみにバインドできるため、対角線上のすべてのバインドが削除されます。そのため、バインドは、対角線上ではなく、直角方向(軸が並ぶ方向)のみに存在します。

    詳しく見ると、隣接するパーティクル間には水平方向のバインドがあり、交互のレイヤのパーティクル間には垂直方向のバインドがあります。板の効果を作成するには、3 番目の設定を使用して後者を排除します。



  7. [ギャップのバインド](Bind Gap)をオンにします。

    [ギャップのバインド](Bind Gap)により、指定の距離を超えたバインドが削除されます。このため、垂直方向の交互のレイヤ間の長距離バインドは、[ギャップのバインド](Bind Gap)の値で指定した 1.0 よりもかなり距離が長くなるため、有効にすることができなくなります。これで水平方向のバインドのみが残るため、目的とする板の効果を実現できます。



    [ギャップのバインド](Bind Gap)をオンにした後、ボックスの間に小さな水平のバインドが表示されない場合、バインドが再び表示されるまで[ギャップのバインド](Bind Gap)値を大きくします。

  8. アニメーションを再生します。

    壁が明らかに板として動作する形でボールが壁をブレークします。



    最後の手順に進む前に、柔軟なバインドを可能にするグルー設定をもう 1 つだけ見てみましょう。

  9. アニメーションを巻き戻して、[mParticles グルー](mParticles Glue) [タイプ](Type)パラメータを[距離](Distance)に設定します。

    [距離](Distance)のバインド タイプは、より弾性のあるバインドを可能にします。

  10. アニメーションをもう一度再生します。

    板はまだ 1 つにまとまっていますが、ボールからの衝撃を受けて、ボルトでつながっているのではなく、まるで糸でつながっているように曲がります。[距離](Distance)オプションでは、服やビーズ カーテンのような興味深いシミュレーションを作成することができます。これらの例の一部は、付属のサンプル ファイルに含まれています。



  11. バインド タイプを[リジッド](Rigid)に戻します。

パート 6: パーティクルをスキニングしてボックスをブレークする

パーティクル スキナーは、パーティクルをメッシュの「スキン」内部の「ボーン」として機能させる強力なモディファイヤです。この簡単な紹介で説明するように、これによって迅速かつ簡単で刺激的な特殊効果の可能性が広がります。

このレッスンでは、列としてブレークするパーティクルに戻ります。

  1. サンプル シーンが含まれている pflow_mparticles_tutorial.max ファイルを開きます。
  2. パーティクル ビューを開きます。レフト ビューポートを確認できるように動かし、レフト ビューポートをワイヤフレーム ビューに変更します。
  3. イベント 001 の[mParticles グルー](mParticles Glue)オペレーターをハイライト表示し、[バインドを視覚化](Visualize Binding)をオンにして、[距離のバインド](Bind Distance)を垂直のバインドだけが表示されるように低く設定します。適切な値は 10.0 です。
  4. アニメーションを再生し、パーティクルがブレークして列になることを確認してください。

    問題は、ボールが 1 つしかなく、列の中心だけがその影響を受けることです。これを解決する 1 つの方法は、より多くのパーティクルを使用することです。

  5. [発生ストリーム](Birth Stream)オペレータをクリックし、[ストリーム ソース アイコン](Stream Source Icon)領域で、アイコンの幅が壁の幅と同じになるように、[幅](Width)の値を約 125 単位に設定します。また、発生ストリームで、[放出終了](Emit Stop)を 1 に設定します。

    現在、[合計](Total)の値は 3 ですが、アニメーションを再生すると、各ボールが接近し過ぎて、まだすべての列に影響を与えることができません。これらの配置は、[独自性のシード](Uniqueness Seed)の値で調整することができます。

  6. [シード](Seed)の値を 21150 に設定してアニメーションを再生します。

    すべての列に当たるわけではありませんが、それぞれが別の位置で終了すれば十分です。

  7. フレーム 0 に戻ります。
  8. レンガ壁にぴったりと合うボックス プリミティブを作成します。[長さセグメント](Length Segs)と[高さセグメント](Height Segs)を両方とも 20 に設定し、[幅セグメント](Width Segs)を 5 に設定します。

    サンプル シーンを含むファイル pflow_mparticles_tutorial.max では、このサイズは 127 x 12 x 34 ですが、シーンによって変わる場合があります。



  9. パーティクル スキナー モディファイヤをボックスに適用します。
  10. モディファイヤの[パラメータ](Parameters)ロールアウトで、[パーティクル フロー システム](Particle Flow Systems)の下の[リスト別](By List)をクリックします。

    [パーティクル システム](Particle System)ダイアログ ボックスで、PF Source 01 をクリックして選択し、[OK]をクリックします。

    [パーティクル フロー システム](Particle Flow Systems)リストには、PF ソース 001 という 1 つのエントリが含まれています。ただし、ボックスの「スキン」に影響を与えるのはこのシステムのすべてのパーティクルではなく、イベント 001 のパーティクルのみです。

  11. [パーティクル フロー システム](Particle Flow Systems)領域で、[すべてのパーティクル フロー イベント](All Particle Flow Events)をオフにします。[リスト別に追加](Add By List)をクリックし、[イベント 01](Event 01)を選択します。

    パーティクル スキナーが機能すると、パーティクル モーションは隣接するメッシュ ポイントに影響を与えることができます。修正されたオブジェクトのすべてのメッシュ ポイントがパーティクルの影響を受けることが理想的です。影響を受けない場合、パーティクルの移動時にメッシュ ポイントが取り残され、メッシュが引き伸ばされて外観に悪影響が出ることになります。そのため、影響を受けないメッシュ ポイントを確認する機能が便利なオプションとなります。この機能により、影響の距離を適切な数値に設定することができます。

  12. パーティクル スキナー モディファイヤのスタック エントリを展開して[コントロール パーティクル](Control Particles)のサブオブジェクト レベルを表示し、[コントロール パーティクル](Control Particles)をクリックしてハイライト表示します。
  13. [パラメータ](Parameters)ロールアウトの最上部にある[スキニングのアクティブ化](Activate Skinning)をオンにします。次に、[パラメータを表示](Display Parameters)ロールアウトまでスクロール ダウンしてそれを展開し、[割り当てられていないポイントを表示](Display Unassigned Points)をオンにします。
  14. [パラメータ](Parameters)ロールアウトに戻り、[距離の影響](Distance Influence)領域で、[絶対値](Absolute)オプションがアクティブであることを確認します。スピナーを使用して、次の図に示すように、ボックス上に小さな赤い正方形が表示されるまで(これらはパーティクルの影響を受けないメッシュ ポイントを示します)、[絶対値](Absolute)の値を小さくしていきます。その後、どの角度からもその正方形が見えなくなるまで値を大きくしていきます。適切な値は 7 です。


    ヒント: 割り当てられていないポイントの数は、[スキニングのアクティブ化情報](Activate Skinning Info)ダイアログで確認できます。このダイアログは、[スキニングのアクティブ化情報](Activate Skinning Info)ボタンの隣にある[?]ボタンをクリックすると開きます。
  15. また、[サーフェスを引き裂く](Rip Surface Apart)領域の[距離の影響](Distance Influence)領域の下で、[タイプ](Type)を[距離変更](Distance Change)に設定します。

    基本的な設定はこれで終了です。「レンガ」のパーティクルをこれ以上確認する必要はありません。

  16. イベント 001 の[表示](Display)オペレータをクリックし、[タイプ](Type)を[なし](None)に設定します。
  17. アニメーションを再生します。

    ボールのパーティクルが現在非表示のパーティクルに当たると、それらのパーティクルはブレークし、スキニングされたボックスのメッシュを持ち去り、パーティクルが移動した距離分そのメッシュを分断します。ただし、この分断は完璧ではありません。いくつかのメッシュ面は単に引き伸ばされるため、効果がいくらか損なわれます。

    この問題は、パーティクル間の距離変更に対して分断の感度をより高くするだけで、簡単に解決することができます。

  18. [距離変更](Distance Change) [相対 %](Relative%)の現在の設定は既定の 50.0 です。これを 1.0 に変更します。

    これにより、距離の変更が比較的小さな場合でもメッシュは分断されます。

  19. アニメーションを再生します。

    今回はきれいにブレークして個々の断片となり、各断片の尖ったエッジが現実感を出しています。



    エッジをさらに真っすぐにする場合は、[エッジ分割の精度](Edge Split Precision) [相対 %](Relative%)値を小さくします。

    サーフェスの内側を見ると、断片があまり固くないように見える場合があります。これは、標準モディファイヤを使用して解決できます。

  20. パーティクル スキナー モディファイヤの上部にあるシェル モディファイヤをボックスに適用し、[内部量](Inner Amount)を 2.0 に、[外部量](Outer Amount)を 1.0 に設定します。

    これでアニメーションを再生すると、断片がより現実的に見えます。

    ヒント: アニメーションをレンダリングする場合は、PF ソース イベントで、[レンダリング](Render)オペレータの[タイプ](Type)を[ファントム](Phantom)にしておくと、パーティクルがレンダリングされません。

概要

このチュートリアルでは、パーティクル フロー シミュレーション ツールの多くの機能のうち、ほんの一部を紹介しています。パラメータを変更し、タイプと数量が異なるパーティクルを使用して、独自に作成したシーンで試してみることをお勧めします。